未経験からWebデザイナーへ。自分の人生を、自分で正解にする生き方とは。ーーデザイナー・三宅 有芙加さん

「自分が感じたことが多分、答えだと思います。それに逆らうと、絶対後悔するから。」

アパレル販売員から海外へ、そしてホテル業界を経てWebデザイナーへ。三宅 有芙加さんのキャリアは、まるで旅をするように、自身の心の声に従って紡がれてきました。一見、自由奔放にも見えるその歩みの裏には、常に「自分の人生に責任を持つ」という強い意志がありました。今回は、直感を信じ、未経験からデザインの世界に飛び込んだ三宅さんに、コンプレックスを乗り越え、自分らしいデザインへの向き合い方を見つけるまでの軌跡を伺いました。

三宅 有芙加 / Miyake Yufuka
アパレル販売員として数年間勤務後、マルタへ短期留学。帰国後にゲストハウスで働いていたがコロナ禍をきっかけにWebデザインと出会い、Web制作会社へ転職。MoD三期生。


ファーストキャリアは、アパレル業界

ーー三宅さんは、ファーストキャリアでアパレル業界に進まれたのですよね。どういう経緯でデザイナーになられたんですか?

高校を卒業後、大好きだった接客を仕事にしたいと思ってアパレルの販売員になりました。
お客様と直接会話し、接客をすることが好きだったのですが、キャリアを重ねるにつれて本社寄りの仕事が増えていきました。それを機に、自分のキャリアを考えるようになりました。
本当は本社寄りの仕事ではなく、ずっと現場にいたい。でも、体力的にいつか限界が来るのではないか…。このままでは自分の進む道が見えないと不安になり、4年ほどで退職を決めました。

退職してからは、マルタに数ヶ月留学をしました。昔から英語に興味があって、勉強を続けていたため、せっかくなら一度日本を離れて暮らしてみようと思い立ったのです。
午前中は語学学校に通い、午後は色々な国から来た人たちとシェアハウスで暮らす毎日で、語学力向上を目的とはしておらず、「海外を楽しもう」という気持ちでした。長い休暇のような感覚でしたが、元々、25歳までは自由に過ごすと決めていたこともあり、自分自身の心の声に従う日々を過ごしていました。

帰国後は、英語が使える環境で働きたいと思い、ゲストハウスのようなカジュアルなホテルで働き始めました。接客は変わらず大好きだったため、お客様とラフに関われる場所が自分には合っていると感じたのです。



「私の仕事は、これだ。」コロナ禍で見つけた天職との出会い

ーーホテルで3年ほど働かれた後、デザインの道に進まれています。何かきっかけがあったのですか?

一番のきっかけは、コロナ禍です。実は、コロナがなければワーキングホリデーでもう一度海外へ長期で行くつもりでした。しかし、それが叶わなくなり、職場も現場がクローズして出勤できなくなってしまって。そんなとき、事務所での事務作業を手伝ってほしいと声がかかりました。

その仕事の一つに、ホテル予約サイトに掲載する写真を編集する作業がありました。そこで初めてPhotoshopの存在を知りました。もちろん、使ったことはありませんでしたが、Webデザイナーの方から使い方を教えてもらいながら作業を進めるうちに、「え、これ、めちゃくちゃ楽しい!」と(笑)。デザインという仕事も、デザインする上で使うツールのことも知らなかったのですが、こんなに楽しいのかと衝撃を受けました。


ーーその出会いが、デザイナーを目指すきっかけになったのですね。

はい。ずっと接客が好きだったはずなのに、その気持ちを忘れるくらい画像編集の作業に夢中になっていました。もっとできるようになりたいと思い、社内のデザイナーにどうやったらスキルを習得できるのかを相談したところ、職業訓練校の存在を教えていただきました。しかも無料で通えると聞いて「じゃあ私も行きます!」と、即決しました。

もう、直感です。「これだ、私の仕事はこれだ。」って。決めたからにはやり切ろうと思って、ホテルはきっぱり辞めて、職業訓練校に通うことにしました。



理想と現実のギャップ。初めて感じたコンプレックス

ーーすごい決断力ですね。デザイナーになるという目標に向かって、迷いはなかったのですか?

なかったです。ただ、どうすればなれるのか分からなかったため、まずは国が支援してくれる職業訓練校で学んでみよう、と。最初のハードルは初心者には易しかったと思います。
職業訓練校を卒業後にWeb制作会社に就職したのですが、そこで初めて大きな壁にぶつかりました。


ーーどのような壁だったのでしょうか。

周りには、美術大学を卒業した方や、10代の頃からずっと「作ること」に情熱を注いできた方たちが大勢いました。そういう方々を目の当たりにしたとき、「自分には何もない」と強く感じてしまいました。自分は今まで楽しく自由に生きてきたからこそ、一つのことを突き詰めて頑張ってきた経験がない。それまではその経験に対して何も感じていませんでしたが、周囲と初めて比較してコンプレックスを感じるようになりました。

デザインの実務経験が無い私を迎え入れてくれた現職Web制作会社には感謝していますが、プロフェッショナルの集団ということもあり、未経験者向けの教育体制が充実しているわけではありませんでした。自分で自ら考えて動かないと仕事がないこともあり、自分は感覚的に、なんとなく生きてきたから、今苦労しているんだと痛感しました。
思慮的で、自分の意見を持っている方々の前では何もできず、自分の考えを言葉にすることさえできない日々が続きました。


ーーそれは、精神的にもかなり大変だったのではないですか。

正直とても大変でした。でも、そこで逃げたらダメだと思いました。
私には、嫌なことから逃げて、若さや愛嬌みたいなものに甘えてしまう癖があったんです。でも、年齢を重ねた時に、それだけでは社会で戦っていけない。若さを取り除いた時に、自分には何が残るんだろうと。だから、自分の足で立てるように、ちゃんと技術を身につけたい。そう思って、とにかく3年間はここで死に物狂いで頑張ろうと決めました。

過去にアパレル企業に勤務していた際も、責任ある立場になって心身ともに大変な時期がありました。しかし、その経験があったからこそ、ちょっとやそっとのことでは動じない強さが身につきました。「苦労は買ってでもしろ」と言いますが、「最初にしんどいことを経験しておけば、後は楽になるんじゃないか」という気持ちがあったため、頑張ることができました。



正解探しからの脱却。デザインと「向き合う」ということ

ーー厳しい環境で3年間。そこから、さらなる学びの場としてデザインスクールの「MoD」を選ばれたのはなぜですか?

3年経って、自分なりにできることは増えたと思います。会社の戦力の一部にはなれたかな、と感じる瞬間もありました。しかし、社内の仕事だけを見て「できた」と思っても、世の中のレベルで見たら、自分の実力はまだまだ底辺なんだと痛感する出来事もありました。また、社内においても、本当は自分が担当したかった仕事が自分にはアサインされず、もっと実力のある先輩が担当する状況がありました。その現実が非常に悔しかったんです。

「このままではいけない、次のステップに進みたい」と思ったときに、私に足りないのはツールの使い方ではなく「デザインの思想」や「考え方」だと思いました。美大を卒業された方が学んでいるような、デザインの根底にある部分を知りたかったんです。そんな時に「MoD」を見つけて、ここならそれが学べるかもしれないと直感しました。


ーー「MoD」での学びは、三宅さんにどんな変化をもたらしましたか?

一番大きな学びは、「答えは自分で作るもの」だと気がついたことです。それまでの私は、どこかにある「正解」を一人で探していたような感覚でした。でも、「MoD」の授業では、同じ課題でも受講生一人ひとり全く違う答えが出てくる。そこに正解も不正解もない。それぞれの答えを見て、「私の答えはこれです」と自信を持って言えるようになればいいんだ、と思えたんです。

その気づきは、仕事への向き合い方にも変化をもたらしてくれました。
今までは、ディレクターの指示通りに「作るだけの人」になっており、デザインの意図を説明することもしていませんでした。しかし、「MoD」の授業では「なぜこう作ったのか」を常に問われます。最初は質問されても全く答えられなかったため、全ての課題に取り組む際に、なぜ自分はこのアウトプットをしたのかを説明できるように準備して授業に臨んでいました。

その経験を通して、仕事でも「私はこう考えてこう作りました」と、自分の意図を言語化するようになったんです。そうすると、ディレクターや上司とのコミュニケーションが格段に増えました。私の疑問や提案に対して、上司も丁寧に教えてくれるようになって。受け身だった自分が、能動的に仕事に関われるようになりました。
気がついたら、時間を忘れて夢中になるくらい仕事を楽しめるようになりました。

タイポグラフィでデザインを作る課題。ほぼ全ての課題やワークショップで、お互いのアウトプットにコメントをしたり、アウトプットの理由を求められたりします。

知ることで、不安は楽しさに変わる

ーー他の受講生と学ぶことによって、大きな気づきがあったのですね。

受講生の皆さんは、多様な経歴を持ち、熱意がある方ばかりで、本当に多くの刺激を受けました。私は、自分の考えや意図を言葉にすることに苦労してきましたが、周囲の皆さんは自分の言葉で自分の考えを的確に表現できる方ばかりでした。使う言葉もとても素敵で。
きっと、これまでずっと考え続けてきたから、そんな素敵な言葉で自分の考えを伝えることができるのだと思います。
こんな風になりたいと思う一方で、自分の表現力や思考の浅さに落ち込む日もありましたが、今ではこれも伸び代だと捉えています。


ーー前向きに捉えられたのですね。

MoDで学ぶ前は、デザイナーとしてこの先やっていけるのか、本当に自分はデザインが好きなのか…そんな不安ばかりでした。でも、不安の正体って、ただ「知らない」だけだと気がつくことができました。知れば知るほど、分からないことが明確になる。それがまた次の学びに繋がって、どんどん楽しくなっていきました。

周囲と比較して不安になるのは、私がまだ知らないことが多いから。だったら、勉強して、少しずつ知れるようになろうと思っています。


ーー最後に、過去の三宅さんのように、キャリアに悩んでいる方にメッセージをお願いします。

もし今、何かに不安を感じているなら、それは「知らない」ことが原因かもしれません。だから、少しでも興味があるなら、一歩踏み出して「知る」努力をしてみてほしいです。私自身、勉強することでデザインがもっと好きだと確信できましたし、その経験が未来の自分を支える自信になっています。

そして、誰とどこで学ぶかは、本当に大切です。熱意のある人たちが集まる環境に身を置くことで、一人では決して見えなかった景色が見えてくるはずです。自分の直感を信じて、一歩踏み出してみてください。
MoDはそのための一つの選択肢になると思いますし、勇気を持って踏み出した一歩が、きっとあなたの世界を広げてくれると思います。

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物語を創り続けるために、創造性を養う土台を学ぶ。ーーエンジニア・高橋 純一さん